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プロペラ日記 12:WATCH にまつわるエトセトラ。

Apple Watch がついに発売になりました!
Facebook や Twitter などからの報告も続々。世の中、盛り上がっていますよね。
僕たちの PROPELa も早速 Watch 対応を整えて、AppStore にサブミットします。上手くいけば10日間後くらいには、みなさまのお手元にお届けできるようになる予定。

使ってみると、、Apple Watch って、PROPELa のためのハードとして作られたんだっけ?
と不遜な冗談を言いたくなるくらい、想像以上に相性抜群!いずれ Apple おすすめアプリとして取り上げられたり、Watch の標準機能に組み込まれたり、、なんて夢想してます。笑
Apple Watch を手にされた皆さんは、是非是非、試してみてください!

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watch の誕生は、clockから?

ということで、今日は”watch”にまつわるお話しを。
時計を表す英単語には、なぜ watch と clock があるのか。小学生のころ英語を勉強し始めて感じた素朴な疑問です。

watch は腕時計、clock は置時計などと、その用法の違いも教わりましたが、でもなぜ、それぞれをそう呼ぶのかということについては教わらなかったし、せっかく疑問に感じたのに、その時は自ら詳しく調べたりもしませんでした。

僕の場合、その後、建築を勉強するようになって、思いがけずその疑問を思い出すことになります。
キリスト教の教会堂には礼拝の時を告げる施設として鐘楼が付いていますが、それをドイツ語では Glockenturm、フランス語では Clocher と呼ぶのだそうです。
何かの発音と音が似ていますね。そう、clock です。
そこで例によって語源を辿ってみると、clock の語源は中世ラテン語で、やはり「鐘」を意味する cloccam(クロッカム)という言葉で、ドイツ語やフランス語にその名残があることを知ります。

鐘楼ですから建築です。少なくとも建築の一部を成す大型の機械設備でありました。時計塔というと、僕たちは文字盤がついているものをイメージしますが、当時、より重要なのは「鐘の音」であって、文字盤のない打鐘装置だけのものも沢山ありました。

時代が下り、今ではもう骨董屋に行かなければ見られなくなってしまいましたが、日本では昭和の半ばころまで、家庭に置き時計があるのは珍しいことではありませんでした。例の有名な唱歌「大きなノッポの古時計」式の、黒光りするような木製のものが多かったと思います。振り子が揺れていて、ボーンボーンと音のなるそれらのほとんどは、そういえば中世の建物のような仰々しい形をしていました。それは、小型化した鐘楼だったからなのです。

では、watch はどうでしょう。watch で表す時計は、腕時計と懐中時計です。
英語で watch といえば、もちろん「見る」という意味がありますが、なぜ同じ時計なのに呼び方が違うのでしょうか。
その理由には諸説あるようだけれど、僕はこの説を推したい。
最初は大きな機械を内蔵した建築だった clock が、技術の進歩とともに小型化し、部屋の中に入って置き時計になり、掛け時計になり、さらに小型化して、、ついに懐中時計や腕時計のようなウェアラブルデバイスとなった。その時、そこに人間との関係における劇的な意味の転換が起きたのだと思うのです。

つまり、鐘楼や置き時計の時代には人は音で時を知ったのだ。けれど、この画期的なウェアラブルデバイスの登場以降は、目で見て時を知るようになった。時間というものが、「場所に紐付いて(間欠的に)耳で聞く存在」から、「行為に伴って(いつでも)目に見える存在」へと変化したのです。

それは現代の僕たちが Apple Watch によって受ける衝撃に近いかもしれません。その感動が watch という呼び名を生み出したのではないでしょうか。

時計塔
出典:http://bandainamcoent.co.jp/
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土圭から時計へ。

話は少し変わりますが、、僕たちTofuONEの応援団の一人の方から「風流時圭男」というご本を頂いたことがあります。この本は、それこそ clock から watch が誕生し普及していくころ、それをいち早く日本に紹介したある企業の創設者一族の物語。実在の人物をモデルとして描き起こされた小説なのだけれど、タイトルの「時圭」という見慣れない表記が気になっていたら、「あとがき」に「時圭とは時計の旧表記」 ということが書かれていました。

さらに調べると、言葉が移入された当時の表記は「土圭(どけい)」といって、中国周代のころ、方角や日影を測る計測器のことだったらしい。「平安時代に日本に伝えられ、機械時計の無かった時代は、「日時計」の意味として「土圭」が用いられていた(語源由来辞典)」ようです。ちなみに「圭」という文字は先端が尖った短冊状のものを表象するから、土に細い影を映す日時計の文字として納得できます。

その後、現在の「時計」になる過程は実はよくわかっていないらしいのですが、機械式時計が発明されて、中国では「自鳴鐘」という呼び方が生まれました。やはり音にフォーカスした名前です。一方日本では、音より時間そのもの、もしくは計測すること自体に関心が向いたためか「ときはかり」とも呼ばれ、当て字として「時計」が定着したようです。元々の文字からの展開を考えると、これは言い得て妙の、本当に上手い当て字だと感心します。

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そして、Apple Watch。

Apple Watch も発売されて、未来を見渡す現在。
時を計り「いま」がどの地点にあるのか24(もしくは12)時間の中で相対的に示すのが「時計」だとすれば、PROPELa で僕たちは、次の予定までの時間を示す新しい「時(間)計」を作っています。

残り時間を示すといってもカウントダウンのように<急かすため>ものではありません。次の予定に移動が伴うならその移動分も含めて、どのくらいの余裕があるのかを把握することで<安心するため>のものでありたい。その安心が「いま」に専念することを助け、「いま」の価値を高めるものとなるはず、と思うからです。

Apple Watch はまさに「いま」を拡張するデバイス。
しかしその大きさや操作性の制約から、その中で機能するアプリケーションには、その刹那に必要なことだけを取り出せる「研ぎ澄まされたシンプルさ」が求められます。
PROPELa はその観点から、このデバイスに最適と思える回答を用意しました。

リリースまでもうちょっと。楽しみにお待ち下さい!

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プロペラ日記 11:サクラサク。次の進化へ。

東京もいよいよ桜の季節となりました。
TofuONEのオフィスの目の前に広がる椿山荘の森の色もすっかり柔らかくなり、神田川の桜並木も、薄桃色に染まり始めました。

ホテル椿山荘東京の庭園を成す「つばきやま」は、14世紀頃から知られる景勝地で、山の手百名山のひとつだそうです。樹齢500年のシイの老木も含めて、都内にいることを忘れるような豊かな森で、鳥もたくさんやってきます。今朝などはホトトギスの鳴き声も。。東京にいながら山居の趣。徹夜した朝には、これに救われています(笑)。

さて。しばらくプロペラ日記の更新が滞ってしまいました。
当たり前の話ですが、起業というもの、アプリの制作以外にもビジネス的なやらなければいけないことがたくさんあり、ここのところ僕のモードがそちらへ行ってしまってましたが、春分を過ぎ、木の芽が膨らむ気配にムズムズとして、またこうして日記を書いています。

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1. 五日ごとに季節は巡る

せっかくなので今日は、季節の話から。
よく日本には四季があるといいますが、じつはもっと細やかな季節の機微を捉えた分け方があるのを知っていますか?まずは四季それぞれを六つに分けた、二十四節気。立春とか啓蟄とか呼んでいるのがそれで、だいたい2週間余りの期間で移っていきます。プロペラ日記の読者にはお馴染み、例の、月の満ち欠けの周期と重なるものです。

さらにその気を、初候、次候、末候に分けたものが七十二候と呼ばれます。これにはそれぞれ面白い呼び方があり、「魚氷に上る(うおこおりにのぼる)」とか、「桃始めて笑う(ももはじめてわらう)」とか、「紅花栄う(べにばなさかう)」とか、、名前というよりも季節の移ろいを捉える秀逸なコピーが付けられています。一年を72分割もするので、それぞれは5日間ほど。かなりピンポイントに季節の動きを言い当てているわけです。田植えや稲刈りなど、農作業の時期的な目安となる農事暦であり、花や鳥など自然のちょっとした変化にこそ眼差しを向けて暮らしてきた日本人の、日本らしい暦だと思います。

ところで、今日は何の候でしょう。
春分の次候にあたる「桜始めて開く」だそうです。そのままです(笑)!
けれどそのとおり、まさに、オフィスの目の前の桜が開き始めました。暦、侮り難し、、ですね。

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2. PROPELaにも進化の季節

ところで、昨年末に駆け込みでPROPELa をリリースしてから、初めての春を迎えるわけですが、この間、口コミベースで少しずつユーザーも増えてきました。広告を打っていないので、劇的に認知度が上がることは期待しにくいものの、それでも一度ダウンロードしたユーザーの定着率が高いことが励みになっています。使ってみれば良さがわかるということなんでしょうね。

以前もお伝えした通り、ユーザーからは様々なご要望をいただいていますので、僕たちのもともとの計画とも併せて、優先度の高そうなものからお応えしていきます。先ず、おそらく来週中になる次回のアップデートでは、PROPELa をさらに進化させる3つの嬉しい機能追加を予定。

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1_ブックマークの追加。

現在、「いまココNAVI」に用意している登録カードを、もう一枚追加します!「HOME」に自宅を「WORK」に職場か学校を入れて使っている人には、追加される「ANNEX」に営業の得意先でも、彼女の部屋でも、あなたにとって重要な場所をもうひとつ、登録できます。

2_英語版UIの追加。

生活のベースが日本語ではない方のために、英語版のユーザーインターフェイスを追加しました!例えば「そろそろ移動の準備を!」というメッセージは「It’s time to stand up!」としています。言語でニュアンスも変わるので、チェックしてみても面白いかも。

3_ヘルプ機能の充実。

HelpshiftというユーザーサポートのSDKを導入しました!FAQのページが出来たので、ちょっとした疑問はこれで解決できます。さらに分からないことがあった場合は、新設されたチャットのページから、ご質問を何なりと。

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さらに、今後の計画としては、、
ご要望の多い、Googleアカウントへの連携ができるようにしていく予定です。これで、設定時にカレンダーの選択として、Google Calenderを直接指定することが出来るようになります。

そしてさらに、、この春には、大きなニュース、Apple Watchの発売がありますよね。
その特性上、Apple Watchというデバイスにとっては、ユーザーの行動に寄り添うもの、行動のきっかけを伝えるものがキラーアプリとなるはず。PROPELa は、まさにそこにフィットします!きっとすごく相性が良いはずなので、Watchの上でもPROPELaの機能が上手く使えるように準備を進めているところ。。

そんな山笑う季節の一連の進化に、是非、ご期待下さい!!

桜
出典:http://blogs.c.yimg.jp/
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ところで、、

今週金曜日にはTofuONEがオフィスをシェアするS.O.Y.LABO.が主催する「桜の会」があります。
PROPELaのオフラインイベントでは全くないのですが、どなたでも参加できますので、もしご興味があれば僕たちの仕事場に遊びに来て、お酒を呑む口実にでも使ってください。 ^ ^ /

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プロペラ日記 04:渾然たる調和、完全なる単純…としての「とうふ」?

ごめんなさい。
日記も04まで来ましたが、まだ、ちゃんとした自己紹介をさせて頂いておりませんでした。
今回はちょっと自分たちのことをお話しさせて頂きたいと思います。

僕たちチームは、TofuONE/トフワンといいます。
いま、行動アシスタントアプリ「PROPELa/プロペラ」をリリースに向けて鋭意製作中です。
いわゆる「IT」を扱う会社ですが、その本質はモノづくりの職人集団だと思っています。
モノづくりにおいて僕たちの目指すべき理想像は、実は「とうふ」です。

ん?トーフ?
そう、「とうふ」
「 豆腐:tofu = soybean curd 」です!

あの白くて四角くて柔らかいヤツ。。(笑)

tofu
出典:http://www.sagamiya-kk.co.jp/trivia/img/main.jpg

豆腐って、僕たち日本人には余りにも身近で、ありふれていて、単純なものだから、
そこに美を見出したり、いちいちその存在の凄さに気を留めたりしないわけだけれど、
人間が生み出したひとつの「プロダクト」としてみれば、
実はその在り方に、深〜い意義を見出すことが出来ます。

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腐ってなくても「豆腐」?

本題に入る前に、ちょっと、気になることを解決しておきましょう。
豆腐って、腐っていないのに、何故「腐」なのか。

まずはその漢字をよく見てみます。
漢字は、素晴らしく良く組織されたインフォメーションデザインの典型ですから、
そのデザインに込められた情報を読み解くわけです。

  • 「广」
    广(まだれ)は、崖を利用した、半分岩に埋没した家屋(岩屋)の形を象ったもの。
    暗くひんやりした空間の特性から、岩屋は、仏像の安置所や礼拝所、納屋や倉として
    使われることが多かったようです。

  • 「府」
    上記のまだれは、実は、この文字の一部でした。府には、
    モノを詰めてしまい込む倉の意味があります。モノがびっちりとくっ付いているイメージ。

  • 「肉」
    府の下に配置かれた肉は、この倉に貯蔵されたものを示しています。
    古来中国において、倉の中で肉を熟成させるという習慣があったのかは知りませんが、
    何れにしても、「暗い岩屋の倉の中で、びっちりと詰められた肉が熟成されている、、」
    そんな景色が「腐」という、たった一文字のタイムカプセルから飛び出して来るわけです。
    インフォメーション・ヴィークル「漢字」。恐るべし、です。

つまり、「腐」の字義としては、熟成させるとか発酵させる、ということになります。
必ずしも腐っていないですね。(笑)
そして熟成されたお肉が柔らかくなることから転じて、
「やわらかい、ぶよぶよした、寄せて固めた」等の状態を表す言葉となりました。
日本語でいう「腐る」という意味も無いわけではないようですが、
こんな成立ちを知ればむしろ、腐るという狭い用法の方がマイナーなのだと理解出来ます。

漢字は、その長い歴史の中で意味が狭められ、歪曲されることもある。
この偉大なインフォメーションデザインのユーザーである僕たちは、
古代のデザイナー達にもっと敬意を払い、その運用にもう少し気を配るべきだと思うのです。
 
どうでしょう?
これで「腐」という文字に対する不当なマイナスイメージを、少しは拭えたでしょうか?
つまり「豆腐」は、「やわらかい豆を寄せて固めたもの」という意味だったんですね。
  
まずは、おとうふさんの名誉のために。

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哲人の遺した言葉

さて、では本題に入ります。
プロダクトとしての豆腐、その深い存在意義について。

僕が尊敬する20世紀の建築家に、白井晟一(1905〜1983)という人がいます。
「象徴的な形態と光に対する独特な感性(Wikipedia)」の持ち主で、
モダニズム建築の主流には迎合しない孤高の人でした。

今も見ることができる建築作品として、
松濤美術館や、親和銀行(本店と複数の支店)、麻布台に聳えるノアビルなどが有名です。

shinwa
shirai
出典:http://stat.ameba.jp/user_images/20120429/14/craftmanship/79/1f/j/o0389058711942571256.jpg
出典:http://img.allabout.co.jp/gm/article/374102/1.jpg

若い頃から美学や哲学に傾倒した彼は、シベリア経由で渡欧しベルリン大学で哲学を修得。
それゆえ、その言論や建築作品は、哲学的含蓄を濃く映しています。

そんな白井先生が、日常の思考を綴った「無窓」(晶文社) というエッセイ集があり、
その中に「豆腐」についても一節を当てて、独特の素晴らしい考察を遺されています。

これからイメージして頂くのは、中国の豆腐でなはく、より柔らかい日本の豆腐。
しかも木綿よりも、絹ごしのお豆腐がいいです。
では、僕たちに豆腐というものの存在の意義を改めて気付かせてくれる、
彼の観察の一端をご紹介しましょう。

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  『…これ以外のものをゆるさない形と、色と、物理的性質に到達し、
  いや、人間のために満足な「用」となって奉仕するものを完全というならば、
  われわれは豆腐において、具体的な生活の目的のために具現された、
  ひとつの「完全なるもの」を見ることができる

  (中略)
  …あらゆる部分が弁別できないほど、緊密に結合して一つの全体のうちにとけこみ、
  渾然たる調和に統一されている、そういう完全なる単純
… 
  白井晟一 (「豆腐」より抜粋 ) 』

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どうですか、この言いっぷり!
つまりは「用」としての純粋さや完成度と「常」としての身近さや透明度が、ハンパないと。

これは、本当に凄いことなのです。
あまりにも身近で、ありふれていて、単純で、誰もその存在を特別扱いしたりしないのに、
必要十分な機能を備え、日本中で毎日のように求められ、きちんとそれに応えて行く。
しかも何百年もの永きに渡って。

自分もいつかそんなモノをつくってみたい… そう思わずにはいられません。
プロダクトとしての豆腐が到達しているその高みを、いま、僕たちも目指そうとしています。

そんなわけで、恐れ多くもそんなお豆腐様にあやかって、
自分たちの会社の名前に「Tofu」を入れたという次第です。

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もうひとつの願い

そしてさらに(!)

実は、Tofuというのは、Time Oriented Functional Utility の略でもあります。
つまり時間を志向した機能的で有益なもの。

僕たちとて、モノづくりが出来れば何でも良いわけでもなくて、
時間を主題に、人の役に立つ道具」を作りたい、という強い思いがあるんです!!

すると次には、「なんで時間なの?」とか、
いろんな表現手段があるのに、なんで「アプリ」だったの?とか、
「そういえば、ONEの説明は聞いてないよ!」とか言いたくなっちゃいますか?

う〜ん、でも長くなってしまうので、その話はまた後日。。

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