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プロペラ日記 13:大丈夫か!?、、デザイン業界。

大変ご無沙汰しておりました。久々更新の「プロペラ日記」です!
大丈夫か!?、、なんて、デザイン業界を心配する前に、自分たちのことを心配しろ!と皆さまからツッコミを頂きそうですが、その通りでございます(笑)。

でも大丈夫。
音は無くとも、姿は見えずとも、トフワンはしつこくプロダクトの改善を続けております。実はもうすぐApple Watch に「watchOS 2」が配信される予定なのですが、それに合わせて「PROPELa のウォッチ対応版」をリリースいたします!期待して頂きたいそのニュースについては、また改めて。

さて今日は、、最近なんだか騒々しい、デザイン業界の騒動について。

特に新国立競技場のコンペ問題と、オリンピックのエンブレム問題が気になっています。僕は建築家なので、新国立競技場問題についても当然、物申したいこともあるのですが、、まずは、先日ついに使用中止に追い込まれた大会エンブレムの方から話を進めてみましょう。

ちなみに僕は、渦中の人、佐野研二郎さんと面識はありません。
そういう意味での擁護派ではないけれど、佐野さんを巡るネットや一部メディアによる粗捜しや集団ヒステリーのような吊し上げは見るに忍びないものがありました。もちろん、トートバッグの図案の件など、明らかにヤバいものがあったことは事実のようで同情はできませんが、ことエンブレムに関しては僕は盗用ではなかったと見ています。

そんなことで今回のプロペラは、いつもとちょっとトーンが違ってしまうかもしれませんが、同じ「ものつくり」に携わるものとして、どんなことを考えたか書いてみたいと思います。

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1. オリンピック エンブレム問題

まずデザインの概論として、幾何学的図形を用いる手法はあらゆるデザインの基礎の基礎であり、かつ、実践的な王道でもある、ということを押さえておきましょう。素人でも手法に乗って単純に真似ることが出来るし、同時に、ベテランが熟慮の上で辿り着く、洗練の高みであったりもするのです。

しかし、丸や三角や四角といった形には誰の著作権も発生しないように、ごく単純な図形の構成だけでオリジナリティを主張するのは至難の業です。そもそもデザインとは、既存の要素の組み合わせでしかないことを認識しておかなければなりません。シンプルであればあるほど、洗練を極めるほどに様式化されて、他の何かと似るのが必定。しかもその単純な形態でアルファベットを表現するのは常套手段なので、あえてそうしようとするならば、ベルギーの劇場のロゴやドイツの巨匠のタイポグラフィーの例だけでなく、似たようなものはこの他にもまだまだ沢山あるはずなのです。

これだけ情報が流通している現代、デザインでも音楽でも技術でも、もはや完全にオリジナルなものを生み出すことは不可能に近い、と思います。少なくとも、僕たちは「教育という模倣の上にしか創作出来ない」のです。世間では、クリエイターという言葉を気楽に使っていますが、元来「creator」は創造主である「神」を意味します。もちろん人間が神になれるはずもなく、自分を含め、ものつくりに携わる者こそ謙虚であるべきでしょう。そして、現代社会を生きるコンシューマー側としては、表面的類似性に惑わされないよう、創作の意図を汲み取る感性を備えられるといいと思います。似せた詩歌の奥にある趣向の違いを愉しんだ文化(本歌取り)を持つ日本人なら、きっとできるはずです。

さて、では創作の意図を汲み取ると何が見えてくるのか。佐野さんのシンボルマークと劇場のロゴを比較して、その成り立ちの違いを僕なりの推論で解説してみましょう。

今回、佐野さんが創作の過程で辿ったのはやはり、幾何学的図形を用いる構成主義の王道だったはず。画面を9分割し、大小の円と四角と、それらに切り取られた形<ネガ>を配置して、T(Team、Tomorrow、Tokyoの頭文字)を表現しています。
一方、類似が指摘されている劇場のロゴはアルファベットのTとLを重ねてひとつに図案化したもの。佐野さんのものと同じように見える左上と右下の形は、欧文書体を構成する要素(セリフやビーク)を切り取った形<ポジ>です。
ともに幾何学的図形の操作の基本に忠実でありながら、洗練されて力強いシンボル性を得ていますが、上記のプロセスの違い、エレメントのネガ/ポジの違い(黒/白という意味ではありません)、思想の違いが見て取れます。

これは、デザインの勉強をしたものであればそれほど難しい理屈ではありません。たとえ著作権法的に見ても、ベルギーの劇場のロゴに依拠せずに生まれ得たことは立証可能だったはずです。にも関わらず、ネットや一部メディアの「結果の視覚的類似性だけを捉えた批判」の勢いは凄まじいものがありました。

まあ、、彼の他の仕事に揚げ足を取られる格好の材料があり過ぎたので、ほぼ自爆認定ですが、ここでそのことには触れません。

ここで指摘しておきたいのは、
1、完全にオリジナルな創作というものはない。
2、問題の二つのデザインは、成り立ちが違う。
ということです。

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2. 「時間」を伴う価値。

前項で「洗練されて力強い」と言った佐野作品ですが、好きか嫌いかで言えば、、実は、好きじゃありません。はじめて佐野さんのエンブレムを画像で見たときに、正直、一秒で、つまらないなと思ってしまいました。精度はともかく、発想と構成が学生レベルに見えたのです。
でもその後、発表されたプレゼンテーションの動画を見て評価が変わります。

地球を表す大きな円を背景として、ごくベーシックな図形操作に始まりながら、それがいつしか概念操作へと移行していきます。そして、オリンピックのシンボルとパラリンピックのシンボルを切り離せない一対としつつ、最終的に、シンプルな色と構成によってある種の日本的な情緒を獲得する、、
動画では、その過程が魅力的に、見事に示されていました。

さらに佐野さんは、亀倉雄策さんの1964年の五輪エンブレムを下敷きにしたとも言っています。これはデザイン史に残る偉業とされる作品で、それ以上削ぎ落とすことのできない、まさに究極のデザインなのですが、動画を見てその意味するところも解りました。
亀倉さんの仕事が偉大すぎるので、比べてしまうと佐野さんのエンブレムが幼稚に見えちゃうのは置いておいても、そこから展開されたグラフィック的設計思想などは見えて来ます。
つまり、動画が語ることが今回の佐野作品の全体像なのです。僕はそれで納得しました。

アイキャッチ
出典:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/13/Tokyo_1964_Summer_Olympics_logo.svg

サウンドロゴ、モーションロゴという言葉をご存知と思います。
テレビCMや動画配信の広告の中の2〜3秒を使って、企業やブランドを表象する「動くロゴマーク」と「印象的なサウンド」を 挿入してくる、アレです。日本でいち早く導入されたポピュラーな例を挙げれば、「It’s a SONY」とかになるのかな?もはや一般にもあたりまえに認知されているでしょう。

近年、動画に触れる環境自体も飛躍的に整備され、街の中でも、電車の車内でも、また各人のポケットの中や腕の上にでも、時間帯やシチュエーションを問わずコンテンツが届けられています。当然サウンドロゴやモーションロゴも、ますますその重要性を増しているのです。
米企業のシスコが今年5月に出したレポートでは、今後5年でインターネット全体のトラフィックのうちオンライン動画の割合が8割に達すると予測しています。 

そう。今や、ロゴやシンボルなどのイメージ伝達は「時間」を伴って行われるものだということです。
動画は静止画に比べて1000倍もの情報量を伝えるとも言われ、たとえ数秒でも、そのイメージの特色を、視聴者の心象に深く突き立てることができます。そしてこれは特別なことではなく、今や紙のポスターよりも身近になった、「表現媒体と僕らの接触のあり方」の現実なのです。

だから今、ロゴやエンブレムを論じるならば、動くことを前提にするべきですし、計画も、その短い時間の中でいかに物語や思想を表現し共感を得るかを熟慮すべきだし、批評も、その観点からなされるべきだと思うのです。

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3. 僕が佐野さんだったら…!?

大会組織委員会はエンブレムの選定理由の一つに「展開力」を挙げていました。このエンブレムを通して、東京オリンピックが表象するイメージを、様々な場面で、様々な媒体の上に表現できる可能性に対して展開力と言ったのだと思うけど、それは当然、モーションロゴとしての可能性も含んでいたはずです。

シスコ社の予測を見るまでもなく、2020年に向かって、動画の流通が激増するのは当然の流れ。それまでに、スマホやウォッチなどのデバイスだって、IoTだってどんどん進化します。トラフィックの8割という数字以上に、もっと身近に、しかもさりげなく溢れかえっているはずです。

試みに、、
上記のことを踏まえて、例えばもし僕が佐野さんだったら、どう主張し得たのか、というのを考えてみましょう。

もし僕が佐野さんだったら、時代認識を論じた上で、動画が「正」であって、静止画はそのある一瞬を切り取ったものだと説明します。(あの動画では長すぎるので、3〜6秒にまとめたバージョンを用意します。)
また、オリンピックのエンブレムを片側だけ単独で扱うのも「正」ではなく、パラリンピックのエンブレムと合わせて、厳密には二つの配置される距離も正確に定めた上で、二つ並べてようやく一つの大きなイベント「オリンピック・パラリンピック」を表象するシンボルになるのだと説明します。(ここでより重要なのはデザイン論ではなく、パラリンピックへの認識論です。)

そして、依頼主を含む世界中に向けて、その新しいエンブレムの扱い方を規定しましょう、と提案します。
いま、時代の流れ(特に情報との接点の変化)を考えるならば、2020年に向けて発表される大会のエンブレムは、これまでのものと一線を画す新しい在り方を提示しなければならない。これは、日本が世界に向けて時代の転換を象徴的に体現して見せるチャンスなのです!! 、、と熱弁を振るって理解を求めるだろうと思います。

そうしたならば、劇場のロゴとも、巨匠のタイポとも全く違う次元で語られるべきものになります。流れる水の一瞬の姿を捉えて水の形を定義しないように、静止した動画を批評することは出来ないのだから、もっと違う議論になったはず、、、なのだけど。

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4. 欲しい未来へ

僕らはみんな、情報やイメージとの接触のあり方の変化に気づいているはずです。でも、今回の騒動ではそんな、近い未来における情報流通の観点から論じられているものはほとんどありませんでした。

かつてデスクの上に鎮座していた情報は、持ち歩くものになり、身に着けるものになって、人の行動と溶け合うようになりました。IoTが進めば身近な環境のあらゆる部分と小さくコミュニケートするようにもなる。例えばまだApple WatchもFaceTimeさえもなかった5年前から見れば、今の環境は隔世の感があります。これから5年後、同様にまったく違う世の中になっているでしょう。

だからこそ、一人一人が今起きている変化にもっと自覚的になって、欲しい未来のために「いま」をジャッジすべきです。そしてやっぱり、デザイナーはその欲しい未来の提案者にならなければ。作り手も受け手も共に望む未来というものはどんな形をしているのか。素敵な未来(ヴィジョン)を描き、受け手に夢を抱かせる職能はまさに、デザイナーが担っているのだから。

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プロペラ日記 12:WATCH にまつわるエトセトラ。

Apple Watch がついに発売になりました!
Facebook や Twitter などからの報告も続々。世の中、盛り上がっていますよね。
僕たちの PROPELa も早速 Watch 対応を整えて、AppStore にサブミットします。上手くいけば10日間後くらいには、みなさまのお手元にお届けできるようになる予定。

使ってみると、、Apple Watch って、PROPELa のためのハードとして作られたんだっけ?
と不遜な冗談を言いたくなるくらい、想像以上に相性抜群!いずれ Apple おすすめアプリとして取り上げられたり、Watch の標準機能に組み込まれたり、、なんて夢想してます。笑
Apple Watch を手にされた皆さんは、是非是非、試してみてください!

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watch の誕生は、clockから?

ということで、今日は”watch”にまつわるお話しを。
時計を表す英単語には、なぜ watch と clock があるのか。小学生のころ英語を勉強し始めて感じた素朴な疑問です。

watch は腕時計、clock は置時計などと、その用法の違いも教わりましたが、でもなぜ、それぞれをそう呼ぶのかということについては教わらなかったし、せっかく疑問に感じたのに、その時は自ら詳しく調べたりもしませんでした。

僕の場合、その後、建築を勉強するようになって、思いがけずその疑問を思い出すことになります。
キリスト教の教会堂には礼拝の時を告げる施設として鐘楼が付いていますが、それをドイツ語では Glockenturm、フランス語では Clocher と呼ぶのだそうです。
何かの発音と音が似ていますね。そう、clock です。
そこで例によって語源を辿ってみると、clock の語源は中世ラテン語で、やはり「鐘」を意味する cloccam(クロッカム)という言葉で、ドイツ語やフランス語にその名残があることを知ります。

鐘楼ですから建築です。少なくとも建築の一部を成す大型の機械設備でありました。時計塔というと、僕たちは文字盤がついているものをイメージしますが、当時、より重要なのは「鐘の音」であって、文字盤のない打鐘装置だけのものも沢山ありました。

時代が下り、今ではもう骨董屋に行かなければ見られなくなってしまいましたが、日本では昭和の半ばころまで、家庭に置き時計があるのは珍しいことではありませんでした。例の有名な唱歌「大きなノッポの古時計」式の、黒光りするような木製のものが多かったと思います。振り子が揺れていて、ボーンボーンと音のなるそれらのほとんどは、そういえば中世の建物のような仰々しい形をしていました。それは、小型化した鐘楼だったからなのです。

では、watch はどうでしょう。watch で表す時計は、腕時計と懐中時計です。
英語で watch といえば、もちろん「見る」という意味がありますが、なぜ同じ時計なのに呼び方が違うのでしょうか。
その理由には諸説あるようだけれど、僕はこの説を推したい。
最初は大きな機械を内蔵した建築だった clock が、技術の進歩とともに小型化し、部屋の中に入って置き時計になり、掛け時計になり、さらに小型化して、、ついに懐中時計や腕時計のようなウェアラブルデバイスとなった。その時、そこに人間との関係における劇的な意味の転換が起きたのだと思うのです。

つまり、鐘楼や置き時計の時代には人は音で時を知ったのだ。けれど、この画期的なウェアラブルデバイスの登場以降は、目で見て時を知るようになった。時間というものが、「場所に紐付いて(間欠的に)耳で聞く存在」から、「行為に伴って(いつでも)目に見える存在」へと変化したのです。

それは現代の僕たちが Apple Watch によって受ける衝撃に近いかもしれません。その感動が watch という呼び名を生み出したのではないでしょうか。

時計塔
出典:http://bandainamcoent.co.jp/
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土圭から時計へ。

話は少し変わりますが、、僕たちTofuONEの応援団の一人の方から「風流時圭男」というご本を頂いたことがあります。この本は、それこそ clock から watch が誕生し普及していくころ、それをいち早く日本に紹介したある企業の創設者一族の物語。実在の人物をモデルとして描き起こされた小説なのだけれど、タイトルの「時圭」という見慣れない表記が気になっていたら、「あとがき」に「時圭とは時計の旧表記」 ということが書かれていました。

さらに調べると、言葉が移入された当時の表記は「土圭(どけい)」といって、中国周代のころ、方角や日影を測る計測器のことだったらしい。「平安時代に日本に伝えられ、機械時計の無かった時代は、「日時計」の意味として「土圭」が用いられていた(語源由来辞典)」ようです。ちなみに「圭」という文字は先端が尖った短冊状のものを表象するから、土に細い影を映す日時計の文字として納得できます。

その後、現在の「時計」になる過程は実はよくわかっていないらしいのですが、機械式時計が発明されて、中国では「自鳴鐘」という呼び方が生まれました。やはり音にフォーカスした名前です。一方日本では、音より時間そのもの、もしくは計測すること自体に関心が向いたためか「ときはかり」とも呼ばれ、当て字として「時計」が定着したようです。元々の文字からの展開を考えると、これは言い得て妙の、本当に上手い当て字だと感心します。

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そして、Apple Watch。

Apple Watch も発売されて、未来を見渡す現在。
時を計り「いま」がどの地点にあるのか24(もしくは12)時間の中で相対的に示すのが「時計」だとすれば、PROPELa で僕たちは、次の予定までの時間を示す新しい「時(間)計」を作っています。

残り時間を示すといってもカウントダウンのように<急かすため>ものではありません。次の予定に移動が伴うならその移動分も含めて、どのくらいの余裕があるのかを把握することで<安心するため>のものでありたい。その安心が「いま」に専念することを助け、「いま」の価値を高めるものとなるはず、と思うからです。

Apple Watch はまさに「いま」を拡張するデバイス。
しかしその大きさや操作性の制約から、その中で機能するアプリケーションには、その刹那に必要なことだけを取り出せる「研ぎ澄まされたシンプルさ」が求められます。
PROPELa はその観点から、このデバイスに最適と思える回答を用意しました。

リリースまでもうちょっと。楽しみにお待ち下さい!

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プロペラ日記 11:サクラサク。次の進化へ。

東京もいよいよ桜の季節となりました。
TofuONEのオフィスの目の前に広がる椿山荘の森の色もすっかり柔らかくなり、神田川の桜並木も、薄桃色に染まり始めました。

ホテル椿山荘東京の庭園を成す「つばきやま」は、14世紀頃から知られる景勝地で、山の手百名山のひとつだそうです。樹齢500年のシイの老木も含めて、都内にいることを忘れるような豊かな森で、鳥もたくさんやってきます。今朝などはホトトギスの鳴き声も。。東京にいながら山居の趣。徹夜した朝には、これに救われています(笑)。

さて。しばらくプロペラ日記の更新が滞ってしまいました。
当たり前の話ですが、起業というもの、アプリの制作以外にもビジネス的なやらなければいけないことがたくさんあり、ここのところ僕のモードがそちらへ行ってしまってましたが、春分を過ぎ、木の芽が膨らむ気配にムズムズとして、またこうして日記を書いています。

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1. 五日ごとに季節は巡る

せっかくなので今日は、季節の話から。
よく日本には四季があるといいますが、じつはもっと細やかな季節の機微を捉えた分け方があるのを知っていますか?まずは四季それぞれを六つに分けた、二十四節気。立春とか啓蟄とか呼んでいるのがそれで、だいたい2週間余りの期間で移っていきます。プロペラ日記の読者にはお馴染み、例の、月の満ち欠けの周期と重なるものです。

さらにその気を、初候、次候、末候に分けたものが七十二候と呼ばれます。これにはそれぞれ面白い呼び方があり、「魚氷に上る(うおこおりにのぼる)」とか、「桃始めて笑う(ももはじめてわらう)」とか、「紅花栄う(べにばなさかう)」とか、、名前というよりも季節の移ろいを捉える秀逸なコピーが付けられています。一年を72分割もするので、それぞれは5日間ほど。かなりピンポイントに季節の動きを言い当てているわけです。田植えや稲刈りなど、農作業の時期的な目安となる農事暦であり、花や鳥など自然のちょっとした変化にこそ眼差しを向けて暮らしてきた日本人の、日本らしい暦だと思います。

ところで、今日は何の候でしょう。
春分の次候にあたる「桜始めて開く」だそうです。そのままです(笑)!
けれどそのとおり、まさに、オフィスの目の前の桜が開き始めました。暦、侮り難し、、ですね。

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2. PROPELaにも進化の季節

ところで、昨年末に駆け込みでPROPELa をリリースしてから、初めての春を迎えるわけですが、この間、口コミベースで少しずつユーザーも増えてきました。広告を打っていないので、劇的に認知度が上がることは期待しにくいものの、それでも一度ダウンロードしたユーザーの定着率が高いことが励みになっています。使ってみれば良さがわかるということなんでしょうね。

以前もお伝えした通り、ユーザーからは様々なご要望をいただいていますので、僕たちのもともとの計画とも併せて、優先度の高そうなものからお応えしていきます。先ず、おそらく来週中になる次回のアップデートでは、PROPELa をさらに進化させる3つの嬉しい機能追加を予定。

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1_ブックマークの追加。

現在、「いまココNAVI」に用意している登録カードを、もう一枚追加します!「HOME」に自宅を「WORK」に職場か学校を入れて使っている人には、追加される「ANNEX」に営業の得意先でも、彼女の部屋でも、あなたにとって重要な場所をもうひとつ、登録できます。

2_英語版UIの追加。

生活のベースが日本語ではない方のために、英語版のユーザーインターフェイスを追加しました!例えば「そろそろ移動の準備を!」というメッセージは「It’s time to stand up!」としています。言語でニュアンスも変わるので、チェックしてみても面白いかも。

3_ヘルプ機能の充実。

HelpshiftというユーザーサポートのSDKを導入しました!FAQのページが出来たので、ちょっとした疑問はこれで解決できます。さらに分からないことがあった場合は、新設されたチャットのページから、ご質問を何なりと。

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さらに、今後の計画としては、、
ご要望の多い、Googleアカウントへの連携ができるようにしていく予定です。これで、設定時にカレンダーの選択として、Google Calenderを直接指定することが出来るようになります。

そしてさらに、、この春には、大きなニュース、Apple Watchの発売がありますよね。
その特性上、Apple Watchというデバイスにとっては、ユーザーの行動に寄り添うもの、行動のきっかけを伝えるものがキラーアプリとなるはず。PROPELa は、まさにそこにフィットします!きっとすごく相性が良いはずなので、Watchの上でもPROPELaの機能が上手く使えるように準備を進めているところ。。

そんな山笑う季節の一連の進化に、是非、ご期待下さい!!

桜
出典:http://blogs.c.yimg.jp/
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ところで、、

今週金曜日にはTofuONEがオフィスをシェアするS.O.Y.LABO.が主催する「桜の会」があります。
PROPELaのオフラインイベントでは全くないのですが、どなたでも参加できますので、もしご興味があれば僕たちの仕事場に遊びに来て、お酒を呑む口実にでも使ってください。 ^ ^ /

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プロペラ日記 09:衝撃の遭遇から身体の一部になるまで

1月といえば、思い出されるもうひとつのエピソードがあります。今から丁度8年前に起こった、あの衝撃的な事件のこと。時間の流れの速いITの業界で8年は大昔ですから、もう、忘却の彼方かもしれませんが。

新しいカレンダーを考案しようとして、紙と格闘していた僕にとっては、まさに、未知との遭遇。
でも、僕だけじゃなく、世界中が衝撃を受けたはずです。
人の意識や生活をこんなにも変えてしまった。今ではすっかり日常の、当たり前の存在。まるで、息をするように自然な行為となりましたね、、、

そう、iPhoneの登場です。

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歴史が動いた瞬間。

iPhoneは8年前の今日、2007年1月9日(米時間)、サンフランシスコのモスコーン・ウェストで開催されたMacworld Conference & Expoで、スティーブ・ジョブズによって初めて公に発表されました。

この時の「電話を再発明する」というジョブスの台詞はとても有名ですが、実際、まるでモノリスのようなフラットなガラスのサーフェイスに、「タッチスクリーンのiPod」「革命的携帯電話」「インターネットコミュニケータ」を統合したという、驚愕の新デバイスでした。

そしてなにより、最も僕がインスパイアされたのは、その操作方法。タップ、スワイプ、ピンチイン、ピンチアウト。当時は、それだけでまるで魔法のようでした。

時間のカタチをイメージして試行錯誤を続けながら、その操り方を考えあぐねていた僕にとって、それはまさに、雷に打たれたような衝撃だったのです。
プロペラ日記 06でも書きましたが、時間の性質を表記する道具があるとしたら、それが備えるべき特徴は大きく4つあるんじゃないかと、当時、僕は考えていました。
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1、シームレスに繋がる。
  今日と明日、今週と来週、今月と来月、今年と来年の間が継ぎ目無く繋がっている。

2、伸縮自在である。
  12時間にフォーカスすることも、一年を計画することも、千年を俯瞰することも出来る。

3、地球の運動とリンクする。
  人間が地上で感得する時間は、宇宙の中での地球の動き、月との関係とリンクする。

4、レイヤーを持つ。
  過去から未来へ一方向にフローするも、モード別に輻輳する幾つものレイヤーを持てる。

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iPhoneに出会い、その操作方法を学んだ時、僕がイメージしていた時間のカタチ、この4つの条件を備えたものがついに実現出来る!と確信したのです。

無限に繋がる平面も、歴史的な俯瞰も、瞬間への潜行も、GPSもUPSも、幾重もの輻輳も、、
紙の上で試行錯誤してはぶち当たり、どうしても突破出来なかった物理的限界を、フラットなガラスの向こうで、そいつは、易々とクリア出来るだろうことを示唆していました。

moon phase
出典:http://imgkid.com/moon-phases.shtml
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「いま」を刹那的に消費しないために

だけど、、、これらは結局、今回の PROPELa には機能として組み入れることはしませんでした。

何故でしょう?
実現することは不可能ではなかったはずですが、この8年の間にもっと大切にしたいことを見つけたからです。

それは、魔法的存在だったiPhoneが、日常の道具、もっといえば身体の一部のようになって行く過程と同期しているかもしれません。僕たちも、多くのユーザーにとってより身近な「時間と空間」に寄り添う決意をしたのです。

世界は「時間と空間」という二つの分かち難いもので出来ています。瞬間移動の出来ない僕たちにとって「移動」はまさに、時空間で出来た世界との接触を示しています
だから、時間の本質を、イメージ上のその「カタチ」から取り出すことよりも、「移動」に着目して、実空間との関係性から取り出すことにしたというわけです。

Google Nowに象徴されるように、これからの世界は、もっとNowに集約されていくでしょう。やっぱり、過去よりも未来よりも「いま」は特別なんです。
だけど僕たちは、大切な「いま」を刹那的に消費しないためにもNowの意味を少し拡げて、その先に繋げたいと思っています。面白いもので、「移動」を考えると、時間的にも空間的にも「いま」が延びている状態がイメージできます。

「移動」というシチュエーションにおいてこそ身体の現在性が問われますが、それをアシストする画期的なモバイルデバイスが、iPhone やそれに続くスマホたちです。スマホはもはや身体の一部。目や耳や口の延長であり、脳の拡張であり、もうひとつの皮膚です
もうすぐの発売が噂されている AppleWatch なら、なおさら。

「いま」が連続する生活の中で、 何処にいても「あなた」に寄り添うものとして、情報は行動(身体)と同化していくでしょう。
PROPELa もそうありたいし、さらにそこに、魔法を取り戻したいとも思います。

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でも、いつか、、挑戦しますよ。
時間のカタチ、上記の4条件を備えたカレンダーづくりにも。
やりたいことが沢山あって、大変なんだけど。(笑)

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Apple WatchのSDK「Watch Kit」が発表されたので要点をまとめてみました

WatchKit

こんにちは。

ようやくApple Watch用のSDK、WatchKitが発表されましたね。
Apple Watchで動作するアプリケーションは、WatchKit App(WatchKitアプリ)と呼ばれるようです。

私たちのアプリ「PROPELa」も、Apple Watch発売にあわせて動作するようにしたいと思っていますので、AppleのデベロッパーサイトでNDA無しに公開されている動画を元に、要点を日本語でまとめてみたいと思います。正確な情報はdeveloper.apple.comから英語で手に入りますので、この記事に興味を持った方はそちらを参照して下さい。

それでは要点に入ります。

Apple Watchでは大きく分けて、3種類の情報の見せ方がある

  • WatchKitアプリの通常起動(Apple Watchホームスクリーンからマニュアルで起動)
  • ちら見(Glance)
  • お知らせ(Notification)

WatchKitアプリではIn-Depth UXを使う

WatchKit App

  • ドリルダウンのような階層型とスワイプによるページングの2種類のうち、どちらか一方を選んで使います。

「ちら見」機能(Glances)は、見るだけが基本

Glance

  • オプションで「ちら見(Glance)」を使うこともできます。
  • ここでは、小さくまとめた、明示的情報を見せます。
  • テンプレートベースのUIになります。
  • リードオンリーで、ここでタップするとWatchアプリを起動します。

お知らせ(Notifications)にはShort-LookとLong-Look、2つの状態がある

Notifications

  • カスタムUIを備えた、お知らせ(Notification)も作成できます。
  • LocalもしくはRemoteの情報を表示します。
  • トランジションやアクションボタンを設定できます。
  • 静的な画面が必ず必要です。
  • シミュレータでJSONを使うことで挙動チェックが可能です。

WatchKit Appは、それ単独では動かない

Communication between a Watch app and WatchKit extension

  • WatchKitアプリはiPhoneアプリと強調して動作します。
  • WatchKitアプリ単体にはUI部分だけを含み、プログラムはホストとなるiOSアプリが持ちます。
  • UIの状態更新はiPhone側から行うことになります。

ホストiOSアプリをWatchKit Extensionで拡張する

  • 各スクリーン毎にUIに紐付けられたコントローラーが必要です。
  • UIはストーリーボードで作成する。UI要素の管理はoutlet経由でコードから行います。
  • ユーザーのアクションそれぞれがUI要素と対応するようにtarget-actionデザインパターンを使います。

WatchKit Frameworkについて

  • UI要素は「ラベル」「ボタン」「イメージ」「スイッチ」「スライダー」の他に、特殊なものとして、視覚的に要素を区切る「セパレータ」およびラベルの特殊型で動的に更新される「日付とタイマー」があります。
  • iOSとは違い、WatchKitではオブジェクトは左上から右下へ向かって自動的に配置されます。
  • レイアウトのため、UI要素を垂直もしくは水平方向にグループ化できます。グループはネストすることもできます。
  • マージンやスペースの調整ができます。
  • 背景色や背景画像の変更が可能です。
  • ダイナミックコンテンツのためにテーブルを使えます。テーブルの行はテキストや画像などの複数の型の表示をサポートしています。
  • 地図はインタラクティブではないスナップショットですが、動的に設定されます。
  • 地図にはピンや画像など5つまでの注が付けられます。
  • 地図をタップすると「マップ」アプリが起動します。
  • アプリ画面の長押しでコンテキストメニューを表示し、規定サイズのボタンを4つまで出すことが出来ます。

どうでしょうか。画面サイズが小さいこともあり、iOSアプリと違って、UI、アプリケーションロジックともに、「制約を上手く使っていく」という開発プロセスになりそうです。
なお、2015年、つまり来年の末にはApple Watchネイティブの開発も出来るようになるとのことですので、その頃にはまた違ったUIもあり得るようになるのかもしれません。

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