タグ別アーカイブ:

プロペラ日記 11:サクラサク。次の進化へ。

東京もいよいよ桜の季節となりました。
TofuONEのオフィスの目の前に広がる椿山荘の森の色もすっかり柔らかくなり、神田川の桜並木も、薄桃色に染まり始めました。

ホテル椿山荘東京の庭園を成す「つばきやま」は、14世紀頃から知られる景勝地で、山の手百名山のひとつだそうです。樹齢500年のシイの老木も含めて、都内にいることを忘れるような豊かな森で、鳥もたくさんやってきます。今朝などはホトトギスの鳴き声も。。東京にいながら山居の趣。徹夜した朝には、これに救われています(笑)。

さて。しばらくプロペラ日記の更新が滞ってしまいました。
当たり前の話ですが、起業というもの、アプリの制作以外にもビジネス的なやらなければいけないことがたくさんあり、ここのところ僕のモードがそちらへ行ってしまってましたが、春分を過ぎ、木の芽が膨らむ気配にムズムズとして、またこうして日記を書いています。

.

1. 五日ごとに季節は巡る

せっかくなので今日は、季節の話から。
よく日本には四季があるといいますが、じつはもっと細やかな季節の機微を捉えた分け方があるのを知っていますか?まずは四季それぞれを六つに分けた、二十四節気。立春とか啓蟄とか呼んでいるのがそれで、だいたい2週間余りの期間で移っていきます。プロペラ日記の読者にはお馴染み、例の、月の満ち欠けの周期と重なるものです。

さらにその気を、初候、次候、末候に分けたものが七十二候と呼ばれます。これにはそれぞれ面白い呼び方があり、「魚氷に上る(うおこおりにのぼる)」とか、「桃始めて笑う(ももはじめてわらう)」とか、「紅花栄う(べにばなさかう)」とか、、名前というよりも季節の移ろいを捉える秀逸なコピーが付けられています。一年を72分割もするので、それぞれは5日間ほど。かなりピンポイントに季節の動きを言い当てているわけです。田植えや稲刈りなど、農作業の時期的な目安となる農事暦であり、花や鳥など自然のちょっとした変化にこそ眼差しを向けて暮らしてきた日本人の、日本らしい暦だと思います。

ところで、今日は何の候でしょう。
春分の次候にあたる「桜始めて開く」だそうです。そのままです(笑)!
けれどそのとおり、まさに、オフィスの目の前の桜が開き始めました。暦、侮り難し、、ですね。

.

2. PROPELaにも進化の季節

ところで、昨年末に駆け込みでPROPELa をリリースしてから、初めての春を迎えるわけですが、この間、口コミベースで少しずつユーザーも増えてきました。広告を打っていないので、劇的に認知度が上がることは期待しにくいものの、それでも一度ダウンロードしたユーザーの定着率が高いことが励みになっています。使ってみれば良さがわかるということなんでしょうね。

以前もお伝えした通り、ユーザーからは様々なご要望をいただいていますので、僕たちのもともとの計画とも併せて、優先度の高そうなものからお応えしていきます。先ず、おそらく来週中になる次回のアップデートでは、PROPELa をさらに進化させる3つの嬉しい機能追加を予定。

.

1_ブックマークの追加。

現在、「いまココNAVI」に用意している登録カードを、もう一枚追加します!「HOME」に自宅を「WORK」に職場か学校を入れて使っている人には、追加される「ANNEX」に営業の得意先でも、彼女の部屋でも、あなたにとって重要な場所をもうひとつ、登録できます。

2_英語版UIの追加。

生活のベースが日本語ではない方のために、英語版のユーザーインターフェイスを追加しました!例えば「そろそろ移動の準備を!」というメッセージは「It’s time to stand up!」としています。言語でニュアンスも変わるので、チェックしてみても面白いかも。

3_ヘルプ機能の充実。

HelpshiftというユーザーサポートのSDKを導入しました!FAQのページが出来たので、ちょっとした疑問はこれで解決できます。さらに分からないことがあった場合は、新設されたチャットのページから、ご質問を何なりと。

.

さらに、今後の計画としては、、
ご要望の多い、Googleアカウントへの連携ができるようにしていく予定です。これで、設定時にカレンダーの選択として、Google Calenderを直接指定することが出来るようになります。

そしてさらに、、この春には、大きなニュース、Apple Watchの発売がありますよね。
その特性上、Apple Watchというデバイスにとっては、ユーザーの行動に寄り添うもの、行動のきっかけを伝えるものがキラーアプリとなるはず。PROPELa は、まさにそこにフィットします!きっとすごく相性が良いはずなので、Watchの上でもPROPELaの機能が上手く使えるように準備を進めているところ。。

そんな山笑う季節の一連の進化に、是非、ご期待下さい!!

桜
出典:http://blogs.c.yimg.jp/
.

ところで、、

今週金曜日にはTofuONEがオフィスをシェアするS.O.Y.LABO.が主催する「桜の会」があります。
PROPELaのオフラインイベントでは全くないのですが、どなたでも参加できますので、もしご興味があれば僕たちの仕事場に遊びに来て、お酒を呑む口実にでも使ってください。 ^ ^ /

この記事を共有するShare on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Share on LinkedInShare on Tumblr

プロペラ日記 03:言葉から生まれるプロダクト

前回、カレンダーとスケジューラーの違いに触れました。
カレンダーからスケジューラーへの機能の変化はユーザーの欲望に沿った進化であって
これからもまた、別の機能と相応しい呼び名を生みだす
だろうと。

僕たちは発想の源としての言葉の力を信じているところがあって、本来の意味への探索や
名付けという行為をとても大切に思っています。
今回は、ひとつの言葉をどのようにプロダクションへ繋げるのか、簡単な例をご紹介します。

.

言葉からの着想。

例えば、カレンダーというものを主題にする場合。
僕らがよく知っていると思っている日常の言葉であっても、いや、そうであればむしろ、
改めて辞書を繰ってみるのは面白い。意外な発見や、認識を新たにすること度々です。

ということで、「カレンダー」という言葉が本来指し示しているものを探ってみましょう。
まずは語源ですね。

その語源では、kalendae というラテン語に行き当たります。
古代ローマでは、夕方、月が見えると「月が見えた!」と叫んだそうです。(本当か?笑)
毎夜叫んでいたという説があるくらいですから、新月明けにはとりわけ大きく叫んだのかも。
なので「叫ぶ」の「カロ/カレンデ」から「カレンダエ」という言葉になったと言われます。
これは「毎月最初の日」という意味です。

太陰太陽暦を含む太陰暦において、月の始まる日といえば、朔(さく/new moon)。
”現代的に言えば”新月ですね。
月と太陽の視黄経が等しくなる状態またその時刻のことで、実際には瞬間的な現象ですが
それを含む日のことを朔日と言います。

なぜ、”現代的に…”と言ったかというと、本来は月の見えなくなる朔(暗月)の後、
初めて見える細〜い月を新月と呼んでいた
から。
古代ローマ人は、ここで「月が見えたぞ!」ととりわけ大きく叫んだわけです。
現代の新月と呼ばれる状態とズレていますね。
そういえば子供の頃、月が無いのにどうして新月と呼ぶのだろうと疑問に思っていたので、
本来の使い方のほうだったら納得出来たのに!と、ローマ人に共感して叫びたくなります。

ローマでは叫んでから逆算し、月齢の起点を計っていたようですが。

newmoon
出典:http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tarotsakurako/20141112/20141112214846.jpg

言葉からの逍遥。

ちょっと横道に逸れますが、この月の消滅と再生のイメージについては、
絵本の魔術師、エリック・カールの作品に描かれている世界にも触れておきましょう。
世界的ベストセラー絵本「はらぺこあおむし」の作者が、娘に贈った、
夜空を見上げるステキなお話し。

「パパ、お月さまとって!」(原題:Papa, Please Get the Moon for Me)

お月さまと遊びたいというモニカのために、パパは長い長い梯子を月に掛けて持ち帰る。
大喜びで月と遊ぶモニカだけど、そのうち、月が痩せて来て、、ついに消えてしまう。
けれど、寂しい思いをしているモニカの頭上に、再び、、

というようなストーリーで、日本では偕成社から出版されています。
紙面の大きさの限界を破る仕掛けが秀逸で、梯子の長さや、空の高さや、月の大きさを
見事に表現しています。子どもがビックリするような月の巨大さを見せたあと、
それがだんだん小さくなっていく様子がドラマチックに、ちょっと切なく描かれていて。
独特のコラージュ、色彩も美しい絵本で、僕も自分の子どもに何度も読んで聞かせました。
なにしろ「パパ」名指しなので。(笑)

moon
出典:http://quesera230.exblog.jp/i15/

おっと、朔日のことでした。。

日本ではどうだったか。
調べてみると日本では、システマティックな暦が運用される以前は、
農耕のために自然の移り変わりを読む、大らかな自然暦を使っていたようです。
そもそも「こよみ」という言葉も、ふつか、みっか、よっかという日を意味する「か」から、
日(か)を数えることを「かよみ」といったので、転じて「こよみ」になったそう。

でも、月の始まる日は特別に「ひとひ」と呼んでいて、
それもいつしか「月立ち(つきたち/ついたち)」と呼ぶようになった。

正式な暦が百済から伝えられたのは6世紀中頃。
そうして漢語として移入された朔日を「ついたち」と訓読みするようになったらしい。
そう、「ついたち」って、「月立ち」だったんですね。

.

言葉への帰結。

ひとつの言葉を巡って思考がローマから絵本から古代日本へ廻り道をしましたが、、

ここで何が言いたいかといえば、
結局、「カレンダー」という言葉にとっては、月の単位がとても重要であるということ。
年単位のものも、週単位のものも、日めくりもありますが、本来的には月単位。
もしくは、新月から満月を経てまた新月へ戻る周期を意識した使用であったり、
新月明けに叫びたくなるような衝動を孕むものであれば、言葉と本来の意味が合致して、
力を得る
ような気がする、、ということです。

その音の響きや、それらが引き連れて来るイメージの群れまで含めて大袈裟に言うと、
いわゆる「言霊」っていうやつですね。

だから例えば、僕たちのアプリPROPELaの中に設定する、日程を扱うような機能に対して、
それをカレンダーと呼ぶのか、あるいはスケジューラと呼ぶのかということや、
その機能が表現するものの根底にどんな概念を置いておくべきか、などということを、
上記のような考察や連想から、思考を巡らせて決定している、、というお話しでした。

言葉って面白いですね。

この記事を共有するShare on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Share on LinkedInShare on Tumblr