プロペラ日記 09:衝撃の遭遇から身体の一部になるまで

1月といえば、思い出されるもうひとつのエピソードがあります。今から丁度8年前に起こった、あの衝撃的な事件のこと。時間の流れの速いITの業界で8年は大昔ですから、もう、忘却の彼方かもしれませんが。

新しいカレンダーを考案しようとして、紙と格闘していた僕にとっては、まさに、未知との遭遇。
でも、僕だけじゃなく、世界中が衝撃を受けたはずです。
人の意識や生活をこんなにも変えてしまった。今ではすっかり日常の、当たり前の存在。まるで、息をするように自然な行為となりましたね、、、

そう、iPhoneの登場です。

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歴史が動いた瞬間。

iPhoneは8年前の今日、2007年1月9日(米時間)、サンフランシスコのモスコーン・ウェストで開催されたMacworld Conference & Expoで、スティーブ・ジョブズによって初めて公に発表されました。

この時の「電話を再発明する」というジョブスの台詞はとても有名ですが、実際、まるでモノリスのようなフラットなガラスのサーフェイスに、「タッチスクリーンのiPod」「革命的携帯電話」「インターネットコミュニケータ」を統合したという、驚愕の新デバイスでした。

そしてなにより、最も僕がインスパイアされたのは、その操作方法。タップ、スワイプ、ピンチイン、ピンチアウト。当時は、それだけでまるで魔法のようでした。

時間のカタチをイメージして試行錯誤を続けながら、その操り方を考えあぐねていた僕にとって、それはまさに、雷に打たれたような衝撃だったのです。
プロペラ日記 06でも書きましたが、時間の性質を表記する道具があるとしたら、それが備えるべき特徴は大きく4つあるんじゃないかと、当時、僕は考えていました。
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1、シームレスに繋がる。
  今日と明日、今週と来週、今月と来月、今年と来年の間が継ぎ目無く繋がっている。

2、伸縮自在である。
  12時間にフォーカスすることも、一年を計画することも、千年を俯瞰することも出来る。

3、地球の運動とリンクする。
  人間が地上で感得する時間は、宇宙の中での地球の動き、月との関係とリンクする。

4、レイヤーを持つ。
  過去から未来へ一方向にフローするも、モード別に輻輳する幾つものレイヤーを持てる。

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iPhoneに出会い、その操作方法を学んだ時、僕がイメージしていた時間のカタチ、この4つの条件を備えたものがついに実現出来る!と確信したのです。

無限に繋がる平面も、歴史的な俯瞰も、瞬間への潜行も、GPSもUPSも、幾重もの輻輳も、、
紙の上で試行錯誤してはぶち当たり、どうしても突破出来なかった物理的限界を、フラットなガラスの向こうで、そいつは、易々とクリア出来るだろうことを示唆していました。

moon phase
出典:http://imgkid.com/moon-phases.shtml
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「いま」を刹那的に消費しないために

だけど、、、これらは結局、今回の PROPELa には機能として組み入れることはしませんでした。

何故でしょう?
実現することは不可能ではなかったはずですが、この8年の間にもっと大切にしたいことを見つけたからです。

それは、魔法的存在だったiPhoneが、日常の道具、もっといえば身体の一部のようになって行く過程と同期しているかもしれません。僕たちも、多くのユーザーにとってより身近な「時間と空間」に寄り添う決意をしたのです。

世界は「時間と空間」という二つの分かち難いもので出来ています。瞬間移動の出来ない僕たちにとって「移動」はまさに、時空間で出来た世界との接触を示しています
だから、時間の本質を、イメージ上のその「カタチ」から取り出すことよりも、「移動」に着目して、実空間との関係性から取り出すことにしたというわけです。

Google Nowに象徴されるように、これからの世界は、もっとNowに集約されていくでしょう。やっぱり、過去よりも未来よりも「いま」は特別なんです。
だけど僕たちは、大切な「いま」を刹那的に消費しないためにもNowの意味を少し拡げて、その先に繋げたいと思っています。面白いもので、「移動」を考えると、時間的にも空間的にも「いま」が延びている状態がイメージできます。

「移動」というシチュエーションにおいてこそ身体の現在性が問われますが、それをアシストする画期的なモバイルデバイスが、iPhone やそれに続くスマホたちです。スマホはもはや身体の一部。目や耳や口の延長であり、脳の拡張であり、もうひとつの皮膚です
もうすぐの発売が噂されている AppleWatch なら、なおさら。

「いま」が連続する生活の中で、 何処にいても「あなた」に寄り添うものとして、情報は行動(身体)と同化していくでしょう。
PROPELa もそうありたいし、さらにそこに、魔法を取り戻したいとも思います。

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でも、いつか、、挑戦しますよ。
時間のカタチ、上記の4条件を備えたカレンダーづくりにも。
やりたいことが沢山あって、大変なんだけど。(笑)

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