プロペラ日記 05:イメージを現実にする技術とモチベーション

人にはモチベーションが必要です。
何か新しいコトを始める時、例えばスタートアップへの挑戦にあっては、特に。

だから、
なぜそのコトに挑み、何を実現したいのか。
そこにはどんな意味があって、だれのどんな欲望を満たすのか。それを明確にした方がいい

リスクを冒してでも前に進もうとするのが起業というものだと思うのだけど、
具体的に動き始めれば当然、いくつもの困難に直面するわけです。
そんな時にも強い動機付け(モチベーション)があれば、エンジンは止まらない。
向かい風にプロペラを廻し続けることが出来ます。
起業にとって起業家がエンジンだとすれば、モチベーションはさしずめ燃料と言ったところかな。

今回は、PROPELaにもインスピレーションを与えてくれている尊敬すべき先達のエピソードから
イメージを現実にする技術とモチベーションにまつわる話をしてみましょう。 

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ヒトが空を飛んだ日。

20世紀初頭。
誰もが無理だと言っていた「夢のようなこと」に、諦めず挑み続けていた男たちがいた。
その夢は彼らだけのものではなく、まさに「人類の夢」でした。
有史以来、人間がずぅーっと抱き続けて来た大きな憧れ。男も女も、老人も子供も、
そしてきっと現代人であるあなたでさえ、空を見上げて思ったことがあるはずです。

「鳥になりたい、、大空を自由に飛び回れる翼が欲しい」って。

当時、その夢を愚直に追い続けていた彼らの挑戦には、強い逆風が吹いていました。
「機械で空を飛ぶ」という構想に対して、
世間は根拠無く、無理だ、出来っこない。と決めつけたようです。それだけでなく、
メディアをはじめ、軍も、大学も、数学や天文学その他一流の科学者たちまでもがこぞって
機械が空を飛ぶことは、科学的に不可能。」と断じていた時代だったのです。

それでも彼らは諦めません。世間の逆風さえも揚力に変える、不屈の挑戦を続けた二人の男。
自転車屋を経営しながら地道な研究と実験を重ねていた彼らこそ、ご存知、ライト兄弟です。
彼らの挑戦を支えたモチベーションは、「空を飛びたい」というシンプルな欲望でした
そして今から111年前の12月、ついに実験は成功します。
 
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ロープを解き放すとマシーンは滑走を始め、11km/hから13km/hくらいまでスピードを上げた。
マシーンは4番目のレールにさしかかったところで宙に浮いた。
ダニエルは、まさにレールを離れる瞬間をカメラに捕らえた。
前方の昇降舵が重心に近いために過敏な反応を示し、上下運動を制御するのが非常に困難だった。
マシーンは10フィートくらい上昇したかと思うと、今度は地面に向かって急降下した。
レールの終端から100フィートくらいのところで突然地面にたたきつけられた。
飛行時間12秒。

ー 1903年12月17日、オービル・ライト手記より ー

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人類初の、プロペラとエンジンを使った動力飛行の瞬間でした。観客はたったの5人。
それでもしばらく、世間は実験成功を信用しようとせず、実はこの後二人は大変な苦労をします。
けれど、この日を境に時代は大きく旋回し、航空機の爆発的発達の時代に入って行きます。

ついに「人類の夢」を叶えた二人。
彼らの、イメージを現実にした力は、実現するまで挑戦を止めなかったこと。
「空を飛びたい」という、シンプルだけれど強いモチベーション が、世界を変えたのです。

初飛行
出典:http://www.wetwing.com/wright/machines/machinefoto/1903flyer.jpg

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イメージを現実にする技術。

ところで、このブログの筆者の一人である僕(ヤマナカユウイチロウ)は、
既にバレているかも知れませんが、、、いわゆるIT業界の人間ではありません。
専門は建築設計/デザイン。S.O.Y. LABO.という屋号で活動する「建築家」です。

建築とITの関係は、今ではいろんな場面で語られ、また実践もされていますが、
僕は、そのような建築の情報技術の文脈からこの業界にアプローチして来たわけではなく、
むしろ、実はベクトルとしては全然違う方向を向いてきました。

いま、建築の設計作業はみんなCADになったし、CGでのプレゼンも普通になりました。
そしてもはや次の変化としてBIM(Building Information Modeling)への移行も加速しています。

でも、様々なシュミレーション技術が進み、鉄骨やコンクリでビルがいくら高層化しても、
本質は、竹の骨に土を盛っていた昔からあまり変わっていない。
基本的には人の手でひとつひとつ材料を組み上げていく、超プリミティヴな世界です。

僕だってもちろんCADは使うし、テクノロジーに無関心ではいられないけど
設計や施工の表舞台で起きている進化/イノヴェーションよりも、
建築のアナログさ、そのプリミティヴな原理にどうしようもなく惹かれてしまいます。

大地を拠り所にする生い立ち。携わる大勢の人間の好意の積み重なり。
自然の素材、職人の技、肌触り、匂い。そういう定量化出来ないもののヴァイブスを感じるし、
また、その共振がなければ再現出来ない空間の質というものが確かにあるのです。
 
僕はすでに20年、建築のそんな世界にどっぷりと浸かって来ました。
お陰で頭の中で想起した空間は、光の反射に至るまで、ほぼそのように作れるようになった。
いつしか日常のことになっていて自覚してなかったけど、考えてみればエラいことです。
実体として何も存在していない単なるイメージだったものが、ある時、実空間に出現して、
例えば、そこに人が住めてしまうなんて。

それは、イメージを現実にする技術。
イメージを現実にするといっても、晩ごはんの新しいメニューを思いついて作ってみるという
個人で実現可能なものから、多くの他人を巻込まないと実現出来ないことまでいろいろあるけれど
よりシビアにこの技術を身に付けるなら巻込む人は多ければ多いほどいい。

そう考えると建築は、これを鍛えるのにうってつけの職業だったかもしれない。
ひとりでは不可能なことも、皆んなでなら可能になる。
なにしろ延べ何十人、何百人、時には何千人もの人の関わりがなければ建築は作れないのだから。

soy
出典:http://www.soylabo.net/blog/IMG_8853-.jpg
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モチベーションを生む”不足”。

でも、こうやって空間を扱いながら、一方で僕は不足を感じるようになっていました。
その感覚は「空間」と一緒に世界を構成しているもうひとつの大きな要素「時間」についての
ある欲求から生まれている、と気付きます。

僕が「空間」を設計する時、「時間」も同時に設計しています。昼と夜では当然あかりの質も、
空間の機能や目的も変わるし、同じ日中でも季節と時間帯でコンディションは全く変わります。
太陽高度と入射角を想定して壁を立て窓を穿ち、反射率と拡散率を踏まえて材料や色を選定し、
一日を通じ、また季節を通じてその空間の質がどう変化するのかを想像します。

結果、イメージ通りの心地良い「空間」作れたとして、でもそこで重要な要素として参照した
「時間」に対しては、間接的にしか触れられていないのではないか、という疑念が残るのです。

もっと直接的に時間に触れたい。
それが僕のモチベーションになっていきました。

僕たちの世界においては、「時空」として語られるように両者は不可分だし、
片方の存在がもう片方の存在を計る媒質でもある。
でも、例え並べて語られたとしても根本的に違う存在。それこそ次元が違うのです。
時間は、空間のように直接働きかけて変形させることが出来ないし、
もし出来たとしても、それが他人と共有可能なものなのかどうか、極めて怪しい。

宇宙を通底する基本原理のようにも思えるし、それぞれ個別の感覚器によって感得される
超個人的かつ状況即応的な属性の、柔らかい尺度のようにも思える。
そんなものをドウコウしたいなんて望みは、タイムマシンをつくる無邪気な夢と同様に
不可能な挑戦なのかも知れない。

けれど、そこがいい。
自分には到底無理だと思えることに、挑み方さえ分からないようなものこそに挑みたい。
こう出来たら成功…なんて、気軽にゴールのイメージが描けないものほどやってみる価値がある。

僕の場合、「時間に触れたい」という命題を得て、モチベーションは十分に喚起された。
でも実際のところ、その命題に対する挑み方が全く分からなくて、長い時間を使ってしまいます。

迷走の末、僕がようやく掴んだ糸口が iPhoneで、そしてアプリの開発だったというわけです。
その後、多くの支援者や仲間と出会い、巻込みながら、
そうやっていま、僕たちの「PROPELa/プロペラ」に繋がって行くのですが、、
この辺りの詳しい話はまた、回を改めることにしましょう。

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無限の可能性を拓く、「次」。

脳科学者の茂木健一郎さんもグロービスでの講演で語っています。
無限について触れた一節で、「無限というのは、数学的には『次がある』ということ」
「人間は無限そのものを手に入れることは出来ないけど、『次がある』と解って行動する限り
無限と向き合える。
」「僕も、君も、日本も、無限の可能性を持っている」のだと。
だから「次」を設定することが大事で、それは「『無理ゲー』であればあるほど良い。」
要約すると、そんな内容だったと思います。

これは勇気づけられますよね。
僕たちは無限の可能性を持っている。
そしてやっぱり、自分では無理だと思うことこそ、挑戦する意味があるということです。

そして、前出の「イメージ」は、茂木さんのいうところの「次」。
– 1.無理だと思えても、まず理想を設定する。
– 2.その理想的「イメージ『次』」を強く持つ。
– 3.そしてその「イメージ『次』」を現実にするために動く。

なんだか、茂木さんの言葉に、新たなモチベーションを注入してもらったようです。
最後に。よく言われていることですが、ここに改めて記しておきます。

イメージを現実にする唯一の方法は、実現するまで挑戦を止めないこと。

挑戦中の自らへの戒めとして。
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